弁護士のための「不動産投資で成功する極意」。その1回目は、不動産投資の利回りについて考えます。
不動産投資において「利回り」と一言で言っても、実はいろいろな種類(=計算方法)があり、また、利回りが高ければいいというわけでもないようです。
これから初めて不動産投資をされる方もいると思いますので、用語の意味や考え方などを分かりやすく説明していきます。
不動産投資の判断基準(株式と不動産投資の違い)
投資の判断基準と言えば、株式でも不動産でもたいていの種類の投資では、基本的には「利回り」と「値上がりへの期待」です。
「値上がりへの期待」は、時期を見計らって、買ったときよりも高く売り、その差額が確定利益となる、つまり、キャピタルゲインをいかに狙えるかにフォーカスする考え方です。
一方、「利回り」は投資商品(株式・不動産など)が生み出す収益(インカムゲイン)にフォーカスします。株式においては配当がこれにあたり、不動産投資においては、賃料がこれにあたります。
利回りは、資産が生み出す年間の金額(A)÷投資金額(B)で計算されます。
株式における配当利回りは、一口あたりの配当金額×株数で生み出す金額(A)が算出でき、それを購入金額(B)で割れば、配当利回りが出ます。
それでは、不動産投資においてはどうでしょう。
そのため、一般的な不動産投資においては「値上がりへの期待」よりも「収益への期待」つまり「利回り」が重視されることになります。
利回りは、不動産の購入に要した費用と、そこから得られる賃料収入との関係で表され、主に「表面利回り」と「実質利回り」の二つの利回り指標があります。
「表面利回り」は家賃収入と物件価格のシンプルな利回り計算方法
表面利回りとは、単純に、賃料を投資した額で割ったものです。賃料を12倍(12カ月分)し、購入金額(投資金額)で割るという計算式で算出します。
多くの不動産投資物件のポータルサイトの物件要綱に記載されている利回りは、この表面利回りです。注意しなければいけないのは、単純に賃料を12倍(12か月)しているので、この式は一年間を通じて満室が前提にあるということです。
年間平均約5%程度の空室が見込まれる場合は(2年ごとに1か月の空室想定がこれにあたります)、賃料×12か月の数字に95%を掛けて、それを購入金額で割るという計算が必要となります。例えば、月10万円の場合、10万×12か月×0.95÷購入金額となります。
また、年数が経てば当然空室可能性や賃料下落可能性が高まるので、こうしたことを加味する必要となります。さらに、必要経費などは考慮されていません。
これらを含めた利回りの考え方が次の実質利回りです。
「実質利回り」=NOIは、どこまでを厳密に計算に入れるかがポイント
次に、実質利回りですが、不動産投資ではNet Operating Income と表現され、頭文字をとってNOIと呼ぶことが多いようです。賃料収入から必要な経費を引いたもの、現実的な手残り金額がNOIです。そして、このNOIを投資金額(購入金額)で割ったものが実質利回りで、一般的には、実質利回りが収益力を見定める基軸となっています。
実質利回りの利回りは、経費(支出)をどこまで含めるかによって変わってきます。
管理費や修繕積立費、ローン金利、保険、税金など、できる限りかかる費用を見込んでおくことで、よりシビアな収益力を判断することが出来ます。
さらに、収入においても、適切に見込まなければなりません。
どれくらいの実質利回りを見込むべきかについては、立地やオーナーとしてのニーズ、その時々の投資環境などにより異なりますが、参考値的には5%~10%程度見込めるとよいでしょう。