懲戒請求をされた後の手続の流れについて、経験者に重い口を開いてもらいました。詳細な流れは単位会にもよりますので、あくまで1つの例とお考えください。
懲戒請求の通知が来る
懲戒請求がなされると、1カ月程度で懲戒請求がされたということの通知が来ます。特別送達です。
訴状を提出したら裁判所で受理して、被告に特別送達で送付するのと同じような形です。
懲戒請求書を受け取ると、茫然として、少ししたら所内の人や、同期、会派の先輩や、修習時代の教官などに相談する人が多いと聞きます。
答弁書・弁明書を提出する
すると、答弁書と同様に、弁明書の提出期限がまた1カ月程度で指定されます。
思い返したくもない案件を振り返りながら、有利な証拠を集めたり、何をやっているんだろうと思い悩みながら、作業に追われることになるのです。
代理人を選任することも可能
弁明書の提出から、代理人の弁護士を選任することも可能です。
それこそ、単位会の派閥で有力な弁護士や、単位会の選挙に絡んだ政治的な要素を加味して代理人を選任することもあるそうです。
案件によりけりですが、一人で立ち向かうのは精神的にも厳しいですし、代理人を引き受けてくれる弁護士がいれば、依頼すべきでしょう。
報酬についてはなんとも言えませんが。人間関係からして無償で引き受けてくれる人もいるでしょうし、逆に高額ということもあると思います。
委員会による調査が始まる
さて、弁明書を提出するとどうなるか?
ここで委員会のステップを理解しましょう。
懲戒請求は綱紀委員会になされますが、綱紀委員会が「懲戒不相当」と判断すると、それだけで終わります。
他に、対象の弁護士が亡くなったりすると「調査終了」ということもあります。
このあたりは刑事手続に似ていますね。
綱紀委員会が「懲戒相当」と判断すると、懲戒委員会に事案の審査が求められます。そうするとかなりヤバくなってきます。
結果を待つ
さて、弁明書を出した後、当然ながら、綱紀委員会で「懲戒不相当」となることを祈るばかりです。
では、「懲戒不相当」の結果が出るまでに、どれくらいの時間がかかるのでしょうか。
それは単位会にもよりますが、ある経験者によれば、8カ月かかったとのことでした。
その8カ月間は常にどこか懲戒のことが頭から離れず、精神的にキツかったとのことです。
また、「懲戒不相当」とならない場合、綱紀委員会から、早期に面談の呼び出しを食らう可能性が高いです。
逆に言えば、早期の呼び出しがない場合は、「懲戒不相当」になる可能性が高いと言えるでしょう。
面談が行われる
面談は、どのように執り行われるのか。
これもまた単位会によりますが、綱紀委員の弁護士2名から事情を聴かれる、証拠の提出を求められる、ということが多いようです。
その後、懲戒相当となるか、懲戒不相当となるかの通知は、1年前後かかることもしばしばあるようです。
その間、怯えて待たなければなりませんが、綱紀委員会で面談まで行ったということは、悲観的にとらえた方が無難といえます・・
懲戒相当になるとどうなるのか
綱紀委員会で「懲戒相当」となった場合、次は懲戒委員会に呼び出されることになります。
これはとてつもなく厳しい手続です。
経験者によれば、10数名の重鎮の懲戒委員会の弁護士と数名の職員に囲まれ、事情を聞かれ、約1時間、問責されるとのことです。
代理人がいれば、代理人からも対象弁護士に質問をしたり、弁論のような時間も設けられます。
その後、懲戒されるかどうかの決定に、また数カ月を要することになります。
懲戒をされても、腐らずに再起をはかりましょう!
懲戒されたとしても、落ち込んだり、変な非弁業者からの誘いに乗らず、真っ当な道で再起をはかることが肝要です。
年間100人懲戒されるとしたら、20年で2000人、少なくない弁護士が懲戒されますが、その中から再起する人と、落ちぶれる人がいます。
懲戒をきっかけに、根本的な事象を見直して、二度とそのようなことがないようにすればいいだけです。
1回目であれば、誰も見捨てませんし、むしろ同情して応援するでしょう。
そういうときは素直に甘えて、とにかく、根本的な事象を見直すことです。
懲戒ゼロを目指して、弁護士学園では懲戒事例を掲載しますので、参考にしてください。