事務所の運営費

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弁護士が赤裸々に語る法律事務所の経費のリアル

私は地方にも支店をいくつか出している弁護士法人のいわゆるボス弁です。

今日は法律事務所の経費について考えてみましょう。

まずは固定費から

開業当初、弁護士1名、事務員1名の場合を想定してみたいと思います。

費目金額備考
事務員給与26万円額面22万円のときに社保4万円負担を想定
家賃20万円坪単価2万円の10坪を想定
電気水道ネット 2万円
電話FAX印刷 3万円
リース代 2万円複合機1万円、電話機1万円を想定
消耗品費 1万円
新聞図書費 1万円
判例検索 5000円
賠償保険 8000円
税理士2万円確定申告費込みで月額に引き直す想定
合計58万円

事務員

事務員の募集については、基本給20万円以下で設定されている事務所も多いのですが、ある程度優秀な方に、かつ、多くの応募を得るには、22万円程度とすることをお勧めします。

弁護士会の求人情報への掲載は必須で、あとはIndeedの無料掲載などでも沢山の応募がきます。地域を問わず、現状、事務員の採用に困るということはあまりないと思われます。

家賃

家賃は最も地域差が大きい部分です。

坪単価は、地方都市では1万円程度、東京では安くて2万円、超一等地では4~5万円のイメージです。

一般民事の弁護士業務は、報酬額についての地域差はなく、むしろ弁護士数が少ない地方の方が売り上げは立ちやすいにも関わらず固定費が安いので、大都市の弁護士よりも、地方の弁護士の方が圧倒的に豊かな暮らしができると思われます。

開業時に弁護士1名、事務員1名を想定するとしても、人員拡大や書類の保管場所を考慮して、執務室にはもう1~2名の席を確保することができるスペースを作るのがお勧めです。

複合機・電話機

複合機はリースで新品を購入することをお勧めします。

複合機は新品でもたまに不具合を起こしますが、業者が修理に来てくれます。しかし、中古だと修理やメンテナンス等も心配です。

電話機はそこまで高くないので、新品をリースではなく買い取ることでも良いと思います。

オフィスのOA機器を取り扱っている代理店に言えば、複合機・電話の購入と、電話番号とFAX番号の取得、インターネット回線の設定など、一式を手配してくれるところが多いでしょう。搬入と工事は1日で終わると思います。

判例検索、無料?

判例検索は、言わずと知れた判例秘書、TKC、Westlawなど有料のものを利用する弁護士が多く、利用していないのはちょっと恥ずかしいということになります。

しかし、最近では無料で使うことができる「Leagal Search」というサービスも出てきています。無料でも性能が劣らないとなれば、今後はこちらを利用する弁護士が増えていくと思われます。

賠償責任保険

賠償責任保険には必ず加入しましょう。弁護士1名の場合、年間7~9万円程度で加入することができます。弁護士が増えてくれば、もう少し安くはなります。

弁護過誤だけでなく、事務所荒らしなど業務に関する被害についても保障してくれるものが多いので、高額な示談金を現金で保管したり運ぶ際なども安心して運ぶことができるでしょう。

税理士費用

開業後の確定申告は税理士に依頼すべきです。申告だけであれば、安ければ年間をスポットで15万円前後、記帳が多い場合や税務顧問も依頼する場合は年間合計30~40万円程度になると思われます。

合計

上記の表では合計額が58万円となりました。

約60万円と考えると、仮に月の売上が100万円という場合でも手元には40万円しか入らないことになります。

一般民事の場合

ここで一般民事の集客を中心に、広告も出す場合を考えると、現実的には、売り上げを200万円上げて、広告費が2割の40万円、固定費が60万円、利益が100万円、というあたりが最初に目指すべきところということになるのではないでしょうか。

売上が安定的に300万円程になると、次にイソ弁を1人雇ったり、事務員を雇ったり、人件費を増やし、広告費を増やし、また人件費を増やし・・ というスパイラルで事務所を拡大していくことになります。

逆に言えば、広告を駆使して一般民事でやっていくのであれば、人件費と広告費以外にはそれほど経費が増大していくことはありません。

作業を効率化して人件費を抑えることと、最新の情報を仕入れてコスパの良い広告を運用することが、事務所経営の鍵となってくるのです。

企業法務の場合

企業法務を中心にやっていくのであれば、広告費がかからない分、売り上げは低くても利益は残ります。

上記の例でいえば、顧問料月額5万円の32社、160万円というときに利益が100万円残るということになります。

顧問先はすぐには増えませんが、一度獲得すれば減りにくいというのが当然のメリットです。

顧問先が20社を超えて、スポットでの依頼も受けながら、というくらいになれば十分事務所を経営していくことができるのではないでしょうか。

次回は、開業費についても見てみましょう。

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この記事を書いた人

日本弁護士連合会に登録している約4万2000人(2020年10月現在)の弁護士を中心に、法律事務所職員、司法修習生へ、法律事務所の経営や集客、仕事術に関するお役立ち情報と、弁護士の資産形成、業界情報などについての情報発信を行っています。

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