開業する事務所の立地や物件の選び方

独立が決まり、さあ事務所をどこに出そうと考えたときに、立地について検討するための考慮要素についてまとめられた文献やコラムは意外とありません。

そこで、以下ではあらためて考慮要素について整理をしてみたいと思います。

① 人口対弁護士数の立地的な優位性

② 依頼者・裁判所に都合の良いアクセス

③ 物件選び、築古か、ブランドビルか

目次

① 人口対弁護士数の優位性

まずは何と言ってもこれです。自分が開業しようとする単位会や支部に何人の弁護士がいるのか、その対象範囲の人口はどのくらいか、それは全国的に見て優位性があるのかないのか、数字を絶対に見ておくべきです。

調べ方については、日弁連の以下のサイトを参照ください。

基礎的な統計情報(2019年)|日本弁護士連合会

結論は見るまでもなく、東京が最悪となっています。

2019年のデータですと、東京に住んでいる人の706人に一人が弁護士ですが、これだと普通に開業しても、黙っていては依頼がきません。

東京では法テラスの相談や国選ですら回ってこないのです。

これに対して一番良いのは、秋田で、秋田に住んでいる人の1万2740人に一人が弁護士です。岩手、青森、山形など、東北がこれに続きます。

ここで開業すれば、黙っていても東京の約17倍の依頼が期待できるということになります。

しかも、東京の家賃相場と秋田の家賃相場や、人件費を比べても、格段に差があります。

地方で開業する方が圧倒的に有利であることが分かります。

これを逆転することができる要素があるとしたら企業の数です。

東京に本社がある企業は6万社であるのに対して、秋田は2600社程しかありません。

したがって、東京で事務所を開業する理由があるとすれば、企業を狙うということになります。

企業の顧問がない状態であれば、東京で独立することは辞めた方が無難といえるでしょう。

また、出身地域であれば知り合いが多く、紹介など独自の集客が増える可能性もあります。

② 依頼者・裁判所に都合の良いアクセス

クルマ社会の地方であれば、依頼者はどこでも自動車で来てくれるので、裁判所の前に事務所を出すという弁護士が多いように思います。

裁判所まで徒歩3分以内という事務所も多く、うらやましい限りです。

大阪なども、裁判所の徒歩近くの事務所はたくさんあり、なおかつ多くの駅から徒歩圏内でアクセスが良く、東京とは雲泥の差です。

他方で、東京ですと、そもそも裁判所の徒歩近くには官公庁しかなく事務所を出せる場所がありません。結局、銀座・虎ノ門・四谷・市ヶ谷などの、裁判所まで30分以内、依頼者からもなんとなく来やすい駅の近辺が、法律事務所の激戦区となっています。

こうしてみると、東京のネガティブキャンペーンともなってきますが、2019年の全国の弁護士数が4万1000人であるうち、2万人近くが東京三会の弁護士となっていることもあり、正直なところ、東京で独立することはお勧めできる状況にありません。

③ 物件選び、築古か、ブランドビルか

アディーレ法律事務所は本社の池袋サンシャインに始まり、横浜はランドマークタワー、その他全国各地も名所となるような場所のビルに事務所を構えるという方針で有名です。

あえてデメリットを言えば、大きなビルであればあるほど、入り口からオフィスまでの距離が遠く、エレベーターの待ち時間は長いというのが気になるところです。また、そもそも高額な坪単価であることは容易に想像でき、与信からしても簡単に入れるビルではありません。したがって、一般的にライバルとして考えなくてもいい類だろうと思います。

次に、東京に限らず、各地に「弁護士ビル」「法曹ビル」などというハイセンスな名前のビルが建っていると思います。せっかくなので言及しますが、残念ながら、行ってみると狭くて暗い印象があることが多いです。

結局のところ、ボロすぎず、キレイすぎない無難な物件を狙うべきということになります。

坪数は、最初は会議室込みで10~20坪あれば、5~6人がなんとか仕事ができるスペースがとれます。

東京だと坪単価は1万5000円から高くても2万円台にすべきでしょう。

結果、家賃は20~30万円のところで無難な物件を借りるのがお勧めです。

地方であれば、5000円から1万円程度でも同様の物件があります。

したがって、10~20万円程度の家賃でも、十分な事務所を借りることができます。

以上見てきたところによると、東京で独立することはなんとも不利という悲しい結果が浮き彫りになったと思います。

【学園より】

東京で独立するにはどうすれば良いか、今後は、東京で独立して成功している弁護士のインタビューなどもしていきたいと思います。

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この記事を書いた人

日本弁護士連合会に登録している約4万2000人(2020年10月現在)の弁護士を中心に、法律事務所職員、司法修習生へ、法律事務所の経営や集客、仕事術に関するお役立ち情報と、弁護士の資産形成、業界情報などについての情報発信を行っています。

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