弁護士の皆様の中にもお子様がいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。今回は、そんな方々に是非見て頂きたい内容です。
少額投資非課税制度ことNISA(ニーサ)には、「一般NISA」と「つみたてNISA」そしてもう一つ、「ジュニアNISA」があるのはご存じかと思います。ただ、令和2年度税制改正により、一般NISAとつみたてNISAについては、一部ルールを変更した上で5年延長されましたが、ジュニアNISAに関しては、当初設定した期限通り2023年末で終了することが決定しました。つまり2023年に廃止となります。
ただ、皮肉なことにこの制度終了によって、これまで不人気の最大の理由だった「18歳まで払い出しが出来ない」というデメリットが改善され、使いやすくなりました。
2020年の非課税枠80万円を使えるのも残り1か月ちょっと。もし間に合えば、2023年までの4年間で320万円の非課税枠を確保することが出来ます。
ジュニアNISAとは
ジュニアNISAとは、未成年の子の名義で開設されるNISA口座です。一般NISAやつみたてNISAは20歳以上でないと開設できませんが、未成年にも利用の範囲が広げられたというわけです。
とは言っても、幼い子どもが運用するわけにはいかず、運用管理者は、口座開設者本人(未成年者)の二親等以内の親族(両親・祖父母等)と定められています。
非課税枠は、1年あたり80万円で、株式や投資信託が対象となります。
ジュニアNISAはどうして不人気だったか
前述の通り、ジュニアNISAは2023年で終了することになりましたが、それは、利用実績が他のNISAに比べて格段に乏しかったからと言われています。
■NISA・ジュニアNISA利用状況
金融庁データより作成
ジュニアNISAの利用実績が乏しいのは、厳しい払い出し制限にありました。
ジュニアNISA口座で購入した資金は、口座開設者が18歳まで原則引き出しできません。引き出しする場合には、災害等やむ得ない場合を除き、口座を廃止して今まで非課税となっていた税金を遡って支払わなければなりません。
この引き出し制限は、ジュニアNISAが大学等の学資金を想定した資産運用であるからです。とはいえ、非常に厳しい条件でした。
■ジュニアNISAの利用イメージ
金融庁HPより転載
しかし、私立の中高に行くことになった、留学をすることになったなど、子の希望によって18歳までの間に思わぬところで教育費用がかかってしまったり、親の緊急資金が必要となった場合使うことができなかったりと、払い出しが出来ないなどということが大きなデメリットとなっていました。
ジュニアNISA終了によってどう変わったか
それでは、ジュニアNISA終了によって、どう使いやすくなったのでしょうか。ズバリ、2024年以降は子どもが18歳になる前に引き出しても運用益に課税されない、つまり、2024年以降は、いつでも払い出しが出来るようになります。
弁護士の皆様にとっては自明のことですが、2022年4月1日から成年年齢を18歳に引き下げることを内容とする「民法の一部を改正する法律」が施行されます。つまり、ジュニアNISA は2023年に終了するので、その時点で18歳であれば、NISA口座に移行することもできるので、非常に非課税期間の長いサービスになったと言えます。
ジュニアNISAの非課税枠は毎年80万円です。例えば現在0歳のお子様が3歳になる歳の12月でジュニアNISAは終了しますが、そこまでで投資した金額は80万円×4年の320万円です。この320万円を18歳まで、仮に複利5%で運用することができれば665万円になっている可能性もあります。
このように使いやすくなったジュニアNISAですので、昨今は口座開設数も増加しており、先ほどのNISA・ジュニアNISA利用状況のグラフの通り、2019年12月から2020年6月までの半年間で約3万件も口座数が増えました。また、2020年勘定における証券会社のジュニアNISA口座での購入額は、2020年3月末時点で222.9億円。累計購入額は1,452.5億円であり、2019年12月末と比較して18.1%増加しています。利便性が向上したことで、利用が増えたものと見られます。
大事な教育資金どのように準備するか
教育資金はお子様の将来を考えて、しっかりと準備したいものです。この度、ジュニアNISAの利便性が向上したとはいえ、そもそもジュニアNISAは投資です。投資には、リスクが伴います。もちろん、元本割れしたくないと考えるなら、定期預金や学資保険を選ぶことも出来ます。
ただ、やはり、リスクを多少とっても、一定の利回りを確保したいと思うなら、税金が優遇されるジュニアNISAは魅力的な制度であると言えます。2023年までの期間限定、かつ、2020年の投資枠が使えるのも、残り1カ月ちょっとです。この際にジュニアNISAを活用し、教育資金の積立を始めてみるのもいいかもしれません。