執筆:こころトレード研究所 坂本慎太郎 星野彩季
今回は、具体的な株式投資の始め方についてお話ししたいと思います。
口座を開設する
株を買うためには、まず証券会社に口座を開設します。証券会社には対面証券とネット証券がありますが、ネットが使える世代の方は手数料が安いネット証券のほうがおすすめです。
ネット証券のデメリットは対面証券にいる営業員(アドバイザーとも呼ばれます)がいないことです。対面証券は顧客一人に担当の営業員がついてわからないことや株価の見通しなどのアドバイスを貰えます。
ネット証券の利用が当たり前になった最近は投資家が保有している株の乱高下した株に驚いて企業のIR担当に株価の変動について問い合わせる現象が出てきているそうです。
また、株価の下落について辛辣な意見を担当者にぶつけるなどが問題になっており、問い合わせの窓口がメールのみになった会社も存在します。これは株式投資の困りごとを身近な相談をする人がいないために起こってしまう現象です。
何も考えずにネット証券で口座開設が当たり前になっているので問題提起してみました。
運用手法を検討する
前回おさらいですが口座を開設する前に投資に対する一番大切なことを復習しましょう。そうです。「いつまでにいくら儲かりたいか」です。
年間5%程度の利益を目標にする人はインカムという保有しておけば貰える「配当金・分配金」などに着目した投資を行えば解決という話をしました。
年間10%以上の利益狙うキャピタル投資とは
今回は投資で年間10%以上の利益狙う場合。売買による利益を狙う投資を「キャピタル投資」と言います。「100円で買って110円で売り、10円儲けました」ような取引です。
10%の利益獲得は簡単に見えますが、売買で損をする可能性を忘れてはいけません。ではコツコツ積み上げると月0.8%でよいのです。一見達成が可能であるような数字に思えますが、これもとても難しいのです。
設定した目標を達成することができれば問題ないのですが、目標額に達しなかったり、損をしてしまったりする月があるでしょう。損や目標の遅れを取り戻すことに目が行ってしまいギャンブル的な取引にのめりこんでしまう人も多いです。
このように早く現状を打開すべく安易な取引に引きずりこまれてしまうなど初心者にはメンタルの状態も含めてなかなか難しいのが現状です。
銘柄や売買のタイミングはどのように決めるのか?
さて、キャピタルを狙う取引の本題に入っていきましょう。銘柄の選択が必要となるため、相場の状況や売買のタイミングも考慮しなければなりません。
株式投資を始めるタイミングとしてアベノミクスの初動の時期など日経平均が長期に渡って上昇する側面で株を購入した方は年10%の利益も可能なのですが、そのタイミングについての判断も後になって分かることなので、事前の判断は難しいです。
日本株の指数の方向性を把握する
株価は主に需要と業績で決まりまるといっても過言ではありません。まず、株価の元になる日本株の指数(日経平均やTOPIX)の方向性を把握することが一番大事です。指数と個別株の動きは関係ないと思っている方は多いと思いますが、銘柄により異なるものの、指数の動きに引っ張られる傾向が強いです。そのため指数の動きを読むことがタイミングをはかるポイントとなります。
まずは需給について説明しましょう。ここでお話しするのは個別株の買いたい人売りたい人の需給ではなく、株式全体のプレーヤーがどのような取引をしているかというものです。
日本は東京証券取引所(東証)に売買が集中しているため、需給の分析を行う上でとても恵まれています。米国だとトップシェアの取引所でも2割前後と精緻な需給分析ができません。東証はこの主体別の需給などの詳しいデータを開示しています。
外国人投資家の動きに注目する
その需給の動向のカギを握るのが海外のファンドなどの外国人投資家の動きです。
彼らは日本株の売買シェアにおいて、約6~7割を締めていると言われており、3割近くを外国人投資家が保有しています。
(出所:「JPX株式分布状況調査」)
外国人投資家の動向は東証が毎週木曜日に公表する「投資部門別売買動向」週次でも追いかけることができます。メインプレーヤーは外国人投資家、個人投資家、信託銀行です。
外国人投資家は統計的に売り越しや買い越しが続くとトレンドが続きやすい傾向となっています。4週連続で2,000億円程度の買い越し又は売り越しが連続すると10週~10数週連続でトレンドが続く可能性が高いです。このトレンドを見ながら飛び込んでみるというのもわかりやすいタイミングの取り方だと思います。
先ほど紹介したのは現物取引での需給でしたがここ数年は先物に大きな売買が集まっているのでこの需給を無視してしまうと判断を誤ります。
2018年から外国人投資家が売り越し基調を強めており、日経平均の上値を押さえました。売り買いのフローは米中貿易摩擦を鏡のように映しており、トランプ大統領の発言などで投資家が先行きを懸念すると売りが増加し、何とかなるかと思えば売りが減少します。
足元の大きな売り越しはコロナウイルスの懸念だと考えています。この先物の買戻しにより日経平均株価は押し上げられ、29年ぶりの高値を奪回した形になりました。
需給分析でストーリーを立てて株価分析を行うことでシナリオに説得力が増します。自分で集計するのは難しいので株系のサイトなどで公開していますので方向性の把握を行ってみてください。