良いことですが、コロナ禍で犯罪が減り、刑事事件の依頼が減りました。
特に満員電車がなくなったことにより、痴漢事件は激減しました。
外出自粛に伴い、交通事故も減りました。
交通事故については、車の自動運転化により将来はさらに減るでしょう。
将来的には死亡事故ゼロを目指す時代もきます。
このようなコロナやAIによる弁護士業務への影響を考えてみましょう。
① 債務整理
真っ先に増えると思われた債務整理ですが、コロナに関する特別融資や、助成金・補助金で2021年に入っても繋ぎとめている法人・個人が多いようです。
また、債権者側もリモート出社のせいか、昔よりも厳しい督促がないのかもしれません。
裁判所も停滞していることにより、勢いよく訴状が来るということもないようです。
② 離婚
リモート出社のせいで、夫婦で自宅で過ごす時間が多くなり、今までは我慢できていたものが、もう耐えられない、という夫婦が多いようです。
離婚については、2020年夏ころから微増しているといえるでしょう。
感情を無視して淡々と進めることができない案件ですので、婚姻制度がある限り、将来AIによっても奪われにくい仕事であると思います。
③ 相続
相続は、コロナやAIは特に影響がない分野だと思われます。
単純に人口減により将来的には少なくなるでしょうけれども、団塊の世代がお亡くなりになられるころにはピークを迎えるかもしれません。
相続対策が流行っていますので、きちんとした相続対策(例えば遺留分を侵害しない程度の公正証書遺言の作成)が流行すれば、遺産分割事件などは減る可能性があり、弁護士も遺言書の作成や遺言執行者への就任が稼ぎの対象になるかもしれません。
④ 労働問題
コロナを理由にした解雇は激増しています。
しかし、飲食店などであれば、争って勝っても支払い能力がない、ということになる可能性が高いでしょう。
解雇案件については企業側の体力がポイントになるかと思います。
残業代請求については激減しています。リモート出社でそもそも残業がないのです。
あるとしたら物流業界です。
物流業界はコロナでむしろ好調、毎日15時間とかトラックを運転してくれている方々に日本社会は支えられています。
物流業界の人手不足は当分なくならないでしょうし、AIによって奪われる仕事でもないので、狙い目といえるかもしれません。
⑤ 交通事故
冒頭で述べた通り、スバルのCMなどを見てみても、事故って将来確実に減るんだなと思わされます。
現在交通事故をメインにしている事務所はいつか必ず業態変更を求められるでしょう。
早いうちに、それに備えた対応が必要です。
⑥ 刑事
こちらも冒頭で述べた通り、コロナの外出自粛により、犯罪が少なくなっているようです。
満員電車が減ったことにより、痴漢は減りましたし、飲み会が減ったことにより、酒酔いによる粗暴犯や、飲酒運転等も減りました。
一時期、政府のコロナ対策の持続化給付金、の不正受給についての自首や弁護が激増するのではないかと思われましたが、現在は収まりをみせています。
⑦ 企業法務
コロナでいったんストップしたM&Aや、コロナで新たにシナジーが見込めるようになった会社同士のM&Aなどが、2021年は増えるかもしれません。
一般的な契約書の作成やレビューについては特にこれまでと変わりなく、企業法務のクライアントとの打ち合わせはリモートが多くなったこともあり、仕事は効率化されたといえるかもしれません。
コロナ、AIに加え、弁護士数は増加するのに対して人口は減るという大問題があります。
市場規模は小さくなるのにプレイヤーが増えるということであれば、必然的に1人当たりの収入は下がるといえます。
これを避けるには・・・ 新たな分野を開拓して市場規模を大きくするしかないでしょう。
この点、かの有名な久保利英明先生は、これまで弁護士の業務として扱われていなかった株主総会の運営を弁護士業務にしたと言われています。久保利先生のおかげで弁護士の市場規模が大きくなったといえます。
過払い金についても、過去の幾多の弁護士の努力のおかげで例の最高裁判決があり、思ったよりも長い間、弁護士の市場規模を大きくしてくれました。
今はB型肝炎やアスベストに関する案件が弁護士の市場規模を大きくしているといえるでしょう。
固定観念にとらわれず、弁護士の市場規模を開拓する、ということを、一人でも多くの弁護士が志すと良いかと思います。