弁護士の採用をするなら、まず一番最初に掲載するであろう「ひまわり求人就職ナビ」。日弁連が運営する最も有名な弁護士求人サイトであり、弁護士・修習生の求職活動支援を目的としたシステムです。
求職中の弁護士や司法修習生、弁護士等の採用を検討している法律事務所や企業、自治体が利用できます。無料で掲載できる上に、転職を考える弁護士も真っ先に見る媒体のため、ここに掲載しない選択肢はまず無いと言っても過言ではありません。
「ひまわり求人就職ナビ」に掲載するだけで結構な数の応募数を確保できる事務所は多いですが、それでも全く応募がない事務所があることも事実です。そこで本記事では、ひまわり求人就職ナビを活用し、弁護士の採用を成功させるためにできる5つのポイントをご紹介します。
ひまわり求人就職ナビに求人を掲載するには
まず「こちら」にアクセスし、システムに新規登録を行います。
一応掲載基準が設けられており、『日弁連「求人及び求職情報の本会のホームページへの掲載に関する規則」及び日弁連又は弁護士会が定める求人求職情報ページ掲載基準』に背いている場合は許可されない旨の記載がありますが、ほぼ心配しなくて大丈夫でしょう。
審査完了の期間と掲載できる期間
審査期間は(10営業日程度)。掲載期間は最長で3ヶ月ですが、もっと短い期間を指定することも可能です。
本システムへの情報掲載申請には、情報掲載期間(最長3か月)を指定する必要があり、指定された期間を経過した場合には自動的に掲載情報が抹消されます。掲載期間を延長したい場合には、期間経過前に、本システムを通じて、変更申請を行ってください。
引用元:「ひまわり求人求職ナビ」求人情報の登録にあたって
求人表の記載項目
基本情報
事務所名 | 必須 | ||
協力事務所としての 登録の有無 |
|||
弁護士法人としての 届け出の有無 |
|||
従たる事務所の有無 | |||
所属弁護士会 | 必須 | ||
住所 | 郵便番号 | 必須 | |
住所1(番地まで) | 必須 | ||
住所2(ビル・マンション名) | |||
事務所HPアドレス | |||
申請責任者 | 必須 | 登録番号 | 必須 |
採用担当者 | ふりがな | 必須 | |
電話番号 | 必須 | FAX番号 | |
メールアドレス | 必須 | ||
事務所 の構成 |
弁護士数 (日本資格のみ) |
必須・・名 男性:・名 女性:・名 | |
パートナー 経営者の構成 |
|||
アソシエイト・ 勤務弁護士の構成 |
|||
事務職員数 | |||
その他の有資格者 | |||
取扱事件 | 必須 | ||
その他取扱事件の特色等 (自由記載 400字以内) |
|||
執務条件 | 執務日 | ||
平日事務所内 勤務時間 |
|||
休暇 | |||
個人事件 の受任 |
受任 | 必須 | |
受任時の 設備使用 |
必須 | ||
受任時の 経費分担 |
必須 | ||
弁護団事件 | 必須 | ||
事務所アピール・特色・ 将来像・求める人材等 (自由記載 400字以内) |
|||
受動喫煙対策(禁煙・喫煙室あり等) | 必須 |
弁護士向け求人
掲載終了日 | 必須 | |
採用予定人数 | ||
採用予定者の 弁護士経験年数 |
不問 | |
1年以上3年未満 | ||
3年以上5年未満 | ||
5年以上10年未満 | ||
10年以上 | ||
応募資格 | 得意分野 | |
語学能力 | ||
その他(自由記載) | ||
待遇 | 給与 | |
弁護士会費の 事務所負担 |
||
その他条件 (自由記載) |
||
採用方法等 | 募集期間 | |
応募方法 問い合わせ方法 |
||
必要書類等 | ||
選考方法 | 必須eメール 電話 FAX 必要書類の郵送 その他 |
ひまわり求人就職ナビを120%活用するためのポイント5つ
1:最低限全項目を埋める
ご覧いただいたように、必須項目は多くありません。
- 事務所の住所
- 採用担当者
- 所属弁護士会
- 所属弁護士数
- 取扱事件
- 個人事件の受任
- 弁護団事件
- 受動喫煙対策(禁煙・喫煙室あり等)
- 掲載終了日
- 選考方法
上記10項目を埋めれば最短10日後には掲載することが可能ですが、採用にうまくいっている事務所はすべからず任意項目も埋めています。求職者からすれば情報の少ない事務所よりも項目をしっかり埋めている事務所の方が安心感もありますし、より具体的な情報がわかりますので、ここは全部埋めることをお勧めします。
2:取扱分野は絞った方が良い
事務所の取扱分野は全18種、詳細50以上を任意に設定できますが、総合事務所だからといって全てを選択することは避け、注力している分野5つ(最大でも7つ)程度に絞りましょう。
不動産関係 | 不動産取引一般、借地・借家、建築紛争・欠陥住宅(消費者側,業者側を問わず)、マンション法に関する紛争 |
事故 | 交通事故、医療事故(患者側)、医療事故(病院側)、その他の事故(学校事故等) |
消費者被害 | 欠陥商品・製造物責任、証券・先物取引被害、詐欺商法・マルチ商法・過量販売等 |
家事 | 離婚・親権(親子関係を含む。)、遺言・相続、ドメスティックバイオレンス・ストーカー等、子どもの権利、高齢者・障害者の財産管理,介護,成年後見、高齢者・障害者の虐待・差別問題、精神障害者問題 |
生活 | 境界・騒音・その他近隣関係の紛争、環境・公害紛争、薬害 |
金銭 | 金銭貸借(保証を含む。)、サラ金,多重債務(債務整理・個人破産・個人再生を含む。)、年金・保険 |
外国人の人権 | 国際的家事・相続、国籍・ビザ・出入国、その他の外国人の人権 |
刑事 | 一般刑事、経済事犯、少年事件、心神喪失者付添 |
犯罪被害・民暴 | 犯罪被害者の支援、民事介入暴力 |
商事 | 会社法一般(株主総会・企業の社会的責任(CSR)・その他会社経営一般)、株主代表訴訟、M&A・企業再編、事業承継、土壌汚染・廃棄物処理等環境汚染に係る問題、個人情報保護、契約法・商取引、債権保全・債権回収、法人倒産(会社破産・会社更生・民事再生・特別清算を含む。)、独占禁止法、金融商品取引法等経済特別法 |
知的財産権 | 特許法、実用新案法、意匠法、商標法、不正競争防止法、著作権法、エンタテインメント法(芸能人・スポーツ選手などとの契約関係等) |
IT関連 | IT関連紛争 |
労働 | 労働事件(使用者側)、労働事件(労働者側)、労災事故、セクハラ・パワハラ、公益通報者の支援 |
行政 | 行政紛争(住民側)、行政紛争(行政側)、行政・自治体法務、税務(税務訴訟を含む。)、公的年金・生活保護 |
渉外 | 国際的商取引 |
海事・航空 | 海事一般(船舶事故を含む。)・航空事故 |
地域に特有な権利 | 漁業権、温泉に関する権利、水利権、農地法 |
外国法 | 外国法関連 |
多くを設定しておけば絞り込みの検索にヒットする可能性は高くなりますが、そもそも採用したい弁護士に任せたい領域はある程度決まっている筈ですので、採用ターゲットにしている弁護士像からブレさせない為にも絞っておいた方が良いでしょう。
また、単純に長くなると読みにくいというのもあります。
3:支店があれば支店分掲載する
本店の他に支店を持つ弁護士法人の場合、支店で求人内容が変わることもあります。その場合は支店分の求人掲載をしておきましょう。採用は本店で一括管理していたとしても、掲載面を押さえる効果がありますので、やっておいて損はありません。
求人一覧は上段に「新着」、下段に「ランダム」表示がデフォルト設定になっています。掲載日順や更新日順に並び替えをされた場合、同じ事務所名が並ぶ可能性が高いため、目につく確率が高くなります。
4:掲載期間をあえて短くし再度掲載させる
先ほど求人一覧は上段に「新着」、下段に「ランダム」表示されると言いましたが、【新着情報】は 過去2週間にひまわり求人求職ナビに「新規に登録された法律事務所」の求人情報が掲載されます。
つまり、掲載期間をあえて2週間程度にし、掲載が終了してからもう一度掲載申請をすることで新着にのせることが可能です。求職者は一番上から見ていく傾向があるので(そもそも事務所名と住所しか一覧では掲載がないので見ざるおえない)、露出量を稼ぐことが可能です。※常識の範囲内で検討ください。
5:事務所HPアドレスを採用サイトにする
多くの事務所はここを事務所公式サイトで掲載していますが、できれば「特設採用サイト」のページを作成し、そこへのリンクを設定するのが良いでしょう。
例:
- 弁護士法人ALG&Associates
https://recruit-alg.com/ - 弁護士法人多摩中央法律事務所
https://recruit.tc-law-koutsujiko.com/ - 弁護士法人コナトス
https://conatus-law.com/recruit/
弁護士も転職するなら一般求職者と変わりありません。
- その事務所がどんな事務所なのか
- 所属弁護士の人柄
- 取扱案件の詳細
- 働き方
- 給与と仕事モデル など
ひまわり求人だけの情報では決めきれない場合も多分にありますので、採用サイトの充実こそが採用の鍵といっても過言ではありません。ひまわり求人はその入り口だと思っていただければ幸いです。
総評
弁護士の採用に関して、ひまわり求人を効率的に活用する方法をご紹介してきました。
- 1:最低限全項目を埋める
- 2:取扱分野は絞った方が良い
- 3:支店があれば支店分掲載する
- 4:掲載期間をあえて短くし再度掲載させる
- 5:事務所HPアドレスを採用サイトにする
これらを実行していただければ、応募数が0ということは無くなるかと思います(確約はできませんが)。これらを実行しても応募が集まらない場合は、根本的に何かを見直す必要もありますし、弁護士向けの転職エージェントを活用することもご検討いただければと思います。
法律事務所も2019年時点で全国に18,000件以上存在(弁護士白書2019)していますので、採用活動の激化は予想されますし、そもそも存在を知られていないというケースもあります。そういった場合にエージェントの活用は有効ですので、合わせてご検討してみてはいかがでしょうか。