子育て世代の強い味方、児童手当。子ども1人につき、一定額が中学校を卒業するまで受給できます。なお、支給を受けるには、一定条件や制限があります。
児童手当の支給額や所得制限、また2022年に見直し予定の内容についても見ていきましょう。
児童手当の支給金額は?受給を受ける子どもの条件ってあるの?
児童手当は、「日本国内に住民登録がある」「中学校修了まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)」の子ども1人につき月額1万5千円または1万円が支給されます。ただし、所得制限で限度額以上の年収がある人には「特例給付」として子ども1人につき月額5千円が支給されます。
子どもの年齢や出生順に応じて受け取れる手当の金額は以下のとおりです。
※「第3子以降」とは、高校卒業まで(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の養育しているお子さんのうち、3番目以降をいいます。
「日本国内に住民登録がある」とあるので、子どもが海外に住んでいる場合などは、原則支給はありません。
つまり、日本に住んでいることが条件となります。しかし、児童が「留学」を理由として海外に住んでいて、以下の要件を満たしている場合は、例外として、児童手当を受け取ることができます。
手当を受給できる要件(以下の全てを満たすとき)
1 海外留学の前日までに日本国内に継続して3年を超えて住んでいたこと※
2 教育を受けることを目的として海外に居住し両親と同居していないこと
3 海外留学して(=日本に住まなくなって)から3年以内であること
※ ちなみに、短期間留学していて日本に帰国し、再び3年以内に留学する場合などは、上記1の要件を満たしていなくても、手当を受け取れる場合があります。
必ず申請書類を提出しなければならないので、詳細は地方自治体の子ども家庭課などのご相談下さい。
児童手当の所得制限とは?共働き世帯の年収はどうなる?
それでは、児童手当の所得制限について見ていきましょう。
所得制限限度額は、自動手当を受け取る人、つまり子どもを養育している保護者の前年(1月~5月分の手当の場合は前々年。)12月31日時点での所得税法上の扶養親族等の数に応じて設定されています。
まず、児童手当を受け取る保護者の年収ですが、夫婦ともに所得がある場合には、生計を維持する程度が高い方の年収を見ることになります。つまり、夫婦合算しての世帯所得ではありません。
次に、所得税法上の扶養親族等の数ですが、これは、所得税法上の「同一生計配偶者」と「扶養親族」の数です。「同一生計配偶者」とは、児童手当の受給者と生計を一にする配偶者で、年間所得額が38万円以下である人を言います。
「扶養親族」は、受給者と生計を一にする親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人で、年間所得額が38万円以下である人です。上の表のように、扶養親族等の数が、1人増えるごとに年収制限が38万円上がっていきます。なお、扶養親族等のうち、その年の12月31日現在の年齢が70歳以上の「老人控除対象配偶者」に関しては、一人につき44万円年収制限限度があがります。
そして、この所得制限を超えてしまうと、児童手当の支給額は子どもの年齢にかかわらず一律5,000円となります。
子ども約61万人が対象外?!2022年からの児童手当大幅見直し
昨年より児童手当が廃止するのでは…と取り沙汰され、SNSなどでは子育て世代から多くの反対の声が上がっていたのは、皆様も記憶に新しいかもしれません。では、実際どうなったのでしょうか。
政府は、一部の高所得世帯の児童手当を廃止する児童手当関連法改正案を決定し、現在審議中となっています。具体的には、世帯主の年収が1,200万円程度を上回る世帯への特例給付(一律5,000円)が廃止されることになりました。ちなみに、当初は「夫婦合算」の世帯収入で見られる方向でしたが、今回は見送られました。
支給金額と年収のイメージをまとめると以下のようになります。
この大幅見直しによって、対象から外れる子どもの数は約61万人、全体の4%にあたると見込まれています。
教育資金を見つめなおすきっかけに
弁護士の皆様の中にも、この2022年からの見直しにより、児童手当の支給対象外となる方も多くいらっしゃるかと思います。
たたが、5,000円、されど5,000円。習い事の月謝分や書籍、教材の購入等、これまで当たり前のようにあった児童手当が廃止するということで、一度お子様の教育関連費用について考えてみるのもいいきっかけになるのではないでしょうか。