懲戒情報|説明義務、委任契約書作成義務|2020年1月号(4)

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自由と正義:2020年1月号

弁護士会:神奈川県弁護士会

登録番号:2万番台

処分の内容:戒告 

処分の理由の要旨:

(1) 被懲戒者は、懲戒請求者からその母A及び弟Bを相手方とする遺産分割交渉事件を受任し、2015年3月17日に委任契約書を作成したものの、その後にその事件の展開から派生して生じた別事件である遺産分割調停及び審判事件並びに遺産分割審判に基づく不動産競売申立事件についても受任したにもかかわらず、それらの委任契約書を作成しなかった。また、被懲戒者は、懲戒請求者からAを成年被後見人する成年後見開始申立事件を受任し、同年11月2日に委任契約書を作成したものの、その後にその事件の展開から派生して生じた別事件であるAB間の任意後見契約の無効確認訴訟事件及びその任意後見契約についての任意後見監督人選任申立事件についても受任したにもかかわらず、それらの委任契約書を作成しなかった。

(2) 被懲戒者は、上記(1)の無効確認訴訟事件及び任意後見監督人選任申立事件について、懲戒請求者において上記(1)の成年後見開始申立事件とは別に弁護士費用が発生する事件であるとの認識を持てるような適切な説明を尽くさず、また、上記(1)の各委任契約書では日当3万円との記載があるにもかかわらず、その額が10万円となることについて適切な説明義務を尽くさなかった。

(3) 被懲戒者は、上記の事件につき、2017年2月27日に懲戒請求者から解任された後の同年3月2日に、それまで事件遂行に際して頻繁なメールのやり取りをしていたにもかかわらず、懲戒請求者に対し、解任に至る経緯及び懲戒請求者の報酬支払の有無の確認を行わないで、適切な説明が尽くされていない過大な弁護士費用131万円7600円の一部金108万円を請求債権として、懲戒請求者の不動産持分に対し仮差押命令の申立てを行った。

(4) 被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規定第30条第1項に、上記(2)の行為は同規定第29条第1項に違反し、上記各行為はいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

 

処分が効力を生じた日:2019年10月

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