事務員の雇用と助成金

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法律事務所の事務員の雇用について、下手をしたら事務員から懲戒請求をされて、という話も耳にするので、雇用関係について整理してみたい。

目次

採用方法

所属する弁護士会の事務員求人に関する登録はまず必須である。弁護士会によって、インターネットによるものや、紙媒体によるものなど、登録の方法も異なるので問い合わせてみてほしい。

ただ、最近では所属弁護士会の求人だけではあまり応募がこない、ということも多い。「Indeed」などは無料~数万円で、そこそこの応募がくるのでお勧めである。他に、パートタイムであれば、「しゅふjob」というサイトなども有効であるとうことを耳にする。

他の事務所の求人を見ると、減給18万円~19万円ということも多いので、22~23万円から良い人材を募集するのがお勧めである。

採用面接

基本的に、ボス弁であろうとイソ弁であろうとも、採用面接に慣れている弁護士は少ない。大手企業の人事部からすれば、ありえないような面接内容で採用してしまっている事務所が多いと思われる。

さて、一般的な面接と言えば、志望動機や自己PRを聞いていくということになる。経験や能力については、聞いていけばある程度把握することができるが、人間性やストレス耐性などを一回の面接で見極めるのは困難である。

採用の前に一度飲みにでも行く、という時代でもないので、面接の時間や準備は大切にし、例えばあえて仕事とは関係のない、親や兄弟の話、友人の話などを聞いてみるということはぜひ試してみていただきたいところである。

雇用契約

まさか法律事務所であるのに事務員と雇用契約書を締結していない、ということはないだろうか。

巷では残念ながらそのような事務所も多いと聞く。事務員の側から「契約書を下さい」というのはなかなか勇気のいることであり、ぜひ弁護士の側から締結を進めてもらいたいところである。

雇用契約に関しては釈迦に説法であるが、例えば定時が9時から18時であるという場合に、18時5分にタイムカードを切った場合などをいちいち計算して残業代を支払うのは煩雑である。

そのため、ある程度の時間を念頭に、いわゆる固定残業代(みなし残業代)を支払うことが有益である。

固定残業代の決め方については判例を参照にし、固定残業代の金額と固定残業の時間が見合った相当な数字として、また、固定残業時間を超えた分については別途残業代を支払うこと、固定残業代については残業がない月でも支払うこと等を明確にしておくことが望まれる。

きちんとした雇用契約書を交わすことは、雇い主である弁護士からしたら面倒なことでも、労働者である事務員にとっては大切なことである。

参考までに、法律事務所の雇用契約書の雛形を以下に掲載するので、必要に応じて利用されたい。

法律事務所の雇用契約書(雛形)wordファイル

助成金

キャリアアップ助成金という言葉を聞いたことがあるだろうか。

端的に説明すると、半年以上、有期雇用契約で雇っていた社員を、無期雇用契約(正社員)に転換して、さらに半年が経過すると申請することができる助成金である。

現在であれば57万円ほどを受給することができる可能性がある。雇用契約におけるリスクに配慮する趣旨でも、まずは有期雇用契約としておき、順調であれば無期雇用契約(正社員)に転換するというのがオーソドックスな雇い方である。

申請にあたっては、就業規則を整えて、タイムカード等できちんと労働時間を管理し、無期雇用契約(正社員)への転換後、5%以上の給与を増やすこと等が必要となる。

詳しくは懇意の社会保険労務士に相談すると、成功報酬20%で諸々整備した上で申請をしてもらえる、という条件のところが多い。

もし懇意の社会保険労務士がいないという場合には、当サイトの問い合わせフォームから連絡をいただければ、担当者から適切な社会保険労務士を紹介するので、利用を検討されたい。

問い合わせフォーム

事務員の採用や、優秀な事務員が働きやすい環境で長く働いてくれるということは、法律事務所の経営にとって、極めて重要といえる。うまく助成金も利用しながら、事務員に還元し、より良い事務所経営を行っていただきたい。

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