編集部のあくねです!
僕が受験した令和二年度司法試験は史上初の延期日程での実施となりました。今年度の受験者にしか語れない経験として、今日はその振り返りをしていきたいと思います。
延期決定~実施日程発表まで
まず2020年4月、1度目の緊急事態宣言の発令に伴い、同年5月に実施予定だった令和二年度司法試験の延期決定が法務省から発表されました。延期日程については決まり次第速やかにお知らせします、とのアナウンスでしたが実際に延期日程が発表されたのは1カ月以上が経過した5月の中旬でした。
いわばこの『空白の1カ月』は中々に辛かったのを覚えています。コロナウイルスが今以上に未知の存在であったこともあり、「このまま試験今年は実施されないんじゃないか」という不安すら感じていました。
この1カ月間についてどう過ごしていたかというと僕は本当に全く勉強していませんでした。試験の日程が不確定で、目標が定まらない状態で勉強するのは非効率である上に精神衛生上も良くないと思い、読書をしたり普段見ない映画やドラマを見漁ったりしてのんびり過ごしていました。
「きっと周りもこの状況下で勉強できてるわけがない」「日程が発表されてから勉強は再開できれば絶対に間に合う」と自分に言い聞かせて、比較的気楽に過ごしていたと思います。
実施日程発表~本番まで
5月中旬にようやく試験日程が発表され、本来の日程から約3か月遅れの8月中旬に実施予定と発表されました。
延期日程が発表された際の正直な気持ちは、目標が決まった安心よりも、「まだ今から3か月も先なのか・・・」という思いの方が大きかったです。
元々延期が決定した4月の時点で、「残りあと一か月」という気持ち、また計画の基で勉強していたので、3か月先の試験に向けて中々すぐにやる気を出すことはできませんでした。
延期日程発表のタイミングから勉強を再開しましたが、結局僕は6月いっぱいくらいまでダラダラと過ごしてしまい、危機感を持って本格的に勉強に取り組み直せたのは本番1ヵ月前の7月上旬頃からでした。
試験本番が近づいてくるにつれてちょうどコロナの第二波がやってきました。試験の延期が決まった時よりも感染者数は増加していたように思い、またネット上では試験の再延期を求める署名活動が行われていたりもしていたことから、もしかしたら再延期になってしまうのではないかという不安がとても大きかったのをよく覚えています。
試験本番
再延期にはなることなく、無事8月の日程で司法試験本番を迎えました。試験会場の入り口ではソーシャルディスタンスを保ちながら検温を実施するということで、受験生による長蛇の列が出来ていたのが印象的でした。
37.5℃以上で検温に引っかかった時の措置については事前に明確な発表がなく、僕の周りでは検温に引っかかったという話は聞いたことがなかったのですが、万が一引っかかってしまった場合には試験が受けられなくなってしまうのではという不安は大きかったです。
特に僕は試験2日目の朝起きたての時に、身体がだるくて熱を測ったときに微熱があって血の気が引く思いをしたのをよく覚えています。結果的に1日目の試験が疲れがたまっていただけで起きたてのとき身体が火照っていただけのようで、解熱薬を飲むことなく試験会場に向かう電車の時点で平熱に下がっていたので本当に安心しました。
体調万全の状態で受けたいという思いはどの年度でも変わらないだろうけれど、「試験が受けられなくなるかもしれない」という緊張感はコロナ禍における今年度の試験ならではのものだったんだろうなと思います。
試験会場では試験時間中含めてマスクの着用義務が課され、試験場には各所にアルコール消毒が設置され、試験時間終了後は時間差退出が支持されるなどの感染症防止対策がとられていました。
試験本番は真夏の時期だったこともありマスクを着けながら長時間の試験を受けるのは中々の息苦しさでした。
マスクをしながら机に向かうこと自体に当時慣れていなかったという友人は、試験中自然にマスクを鼻下まで下ろしていてしまっていて何度も試験官に注意されたという話も聞きました。
受験を終えて
試験を全て受け終わった時には素直に「無事に終わってよかった」と思いました。
もしかしたら試験が受けられないかもしれない、という不安があったからこそ余計に湧き上がってきた感情だと思います。
74期予定者は司法修習の開始時期も遅れイレギュラーな時期になったり、導入修習が史上初のオンライン実施となるなど異例な尽くしですが、延期実施の司法試験という未曽有の事態を乗り切ったという経験を糧に今後の法曹人生を頑張っていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。