司法試験が実施まで約1か月と迫ってきました。本記事では、近年の出題傾向に照らして、令和3年度司法試験の刑事訴訟法の出題予想を行います。
刑事訴訟法は令和元年から、出題傾向が大きく変動しています。この変動を受け、私は令和2年度司法試験の出題予想を的中させたため、余裕をもって答案作成を行うことができました。
今年度の試験も同様の出題傾向となることが予想されます。本記事では、令和3年度司法試験の刑事訴訟法において、出題可能性の高い重要論点と必要な対策をお伝えしようと思います。
出題傾向の分析
令和元年より、学説の対立の理解を正面から問うような問題が刑事訴訟法に出題されるようになりました。
そのため、このような傾向の変化に対応するためには、判例・通説のみならず、主要な反対説の規範や理由づけについても十分な理解が必要になります。
予想論点
上記の出題傾向の変化により、重要論点についても予想を立てることができます。マイナーな論点について、反対説の規範や理由づけについても論証を求めるのは酷であるため、明確な学説対立が存在する主要論点についての出題が予想されます。
現に、令和元年度においては別件逮捕(本件基準説と別件基準説など)令和2年度には、自白法則(任意性説と違法排除説など)が出題されているように、近年の学説問題はともに明確な学説対立が存在する主要論点からの出題となっています。
以上の傾向を踏まえ、令和3年度司法試験において出題可能性の高い論点は以下の2つです。
- ・逮捕に伴う捜索・差押え(刑事訴訟法220条1項2号・3号、相当説と緊急処分説)
- ・自白の補強法則(憲法38条3項、刑事訴訟法319条2項、実質説と罪体説)
特に、逮捕に伴う捜索・差し押さえについては、付随論点も多く、取る立場により結論も変わることが多いため、要注意です。
まとめ
以上、近年の刑事訴訟法の出題傾向から、令和3年度の出題論点の予想を行いました。
当記事の出題予想通りの論点が出題されたときに備え、逮捕に伴う捜索・差し押さえ、自白の補強法則については、判例・通説はもちろん、反対説についても、その規範や理由付けを説明できるようにしておきましょう。