懲戒情報|法令精通義務、時効期限|2020年4月号(1)

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自由と正義:2020年4月号

弁護士会:香川県弁護士会

登録番号:2万番台

処分の内容:業務停止2月

処分の理由の要旨:

(1) 被懲戒者は、A弁護士と共に、2013年5月1日に懲戒請求者から依頼を受け、懲戒請求者外2名を原告として損害賠償請求及び根抵当権設定登記の抹消登記手続請求の訴訟を提起し、その後、上記訴訟を本案とする仮処分命令の申立てを行い、別件訴訟の既判力が及ぶことや時効期間の経過を理由に請求棄却判決等がなされたが、消滅時効の成立の可能性が高いことが容易に確認でき、また、別件訴訟の既判力による敗訴の可能性が容易に予見し得たにもかかわらず、受任に際して、消滅時効や既判力による敗訴の可能性について懲戒請求者に的確な説明をしなかった。また、被懲戒者は、A弁護士と共に、同年11月22日に懲戒請求者から依頼を受け、懲戒請求者外2名を原告として、B弁護士らに対する損害賠償請求訴訟を提起し、懲戒請求者らに原告適格がないとして却下判決がなされたが、受任に際して、原告適格や原告の損害について懲戒請求者に対して必要な説明をしなかった。

(2) 被懲戒者は、B弁護士らが懲戒請求者らから受任して、既に上告理由書及び上告受理申立理由書を提出していた訴訟事件について、B弁護士らが解任されて、2013年11月頃にA弁護士と受任するに当たり、被懲戒者らに委任する客観的な必要性は認め難いにもかかわらず、これを適切に説明しなかった。

(3) 被懲戒者は、2014年7月4日、懲戒請求者に対し、懲戒請求者から送信した上記(1)の事件について説明を求める内容の書面が、被懲戒者に対する名誉棄損、侮辱であり、被懲戒者を解任する以外の何ものでもないとして、懲戒請求者が解任を撤回する場合は、被懲戒者に謝罪すること、再度着手金を支払うこと等を要求する内容の手紙をメールに添付して送信し、懲戒請求者を畏怖させた。

(4) 被懲戒者は、2014年7月4日以降も懲戒請求者との委任契約が継続していたにもかかわらず、懲戒請求者に解任されたとして上記(1)の事件の訴訟代理人としての活動を停止し、口頭弁論期日に出頭しなかった。

(5) 被懲戒者の上記(1)及び(2)の行為は弁護士職務基本規定第29条第1項に違反し、上記各行為はいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

処分が効力を生じた日:2019年12月

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