自由と正義:2020年8月号
弁護士会:神奈川県弁護士会
登録番号:2万番台
処分の内容:戒告
処分の理由の要旨:
被懲戒者は、2016年1月、懲戒請求者から、2011年11月9日に発生した懲戒請求者の車両以外に2台の車両が関係する交通事故に基づく損害賠償請求事件を受任したが、委任契約の内容を曖昧にしたまま放置し、懲戒請求者から一部の資料の提供を受けたものの、損害額を算定する上で必要となる資料の収集や懲戒請求者を含む関係者からの事情聴取等を十分行わず、また、賠償義務者が上記2台の車両運転者のうち一人だけであるのか他方の運転者も賠償義務者であるかなどの事実関係を探求せず、さらに、2013年3月25日の症状固定日から3年が経過する日が間近に迫っていたにもかかわらず時効中断のための措置を採らず、その後に保険会社からなされた時効完成の主張に合わせた種々の抗弁の検討もしなかったことにより懲戒請求者の権利について消滅時効の成立を阻止する機会を失わせた。
被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規定第5条及び第37条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
処分が効力を生じた日:2020年2月