懲戒情報|妥当でない弁護士報酬、説明義務|2021年5月号(8)

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自由と正義:2021年5月号

弁護士会:兵庫県弁護士会

弁護士名:筧宗憲

登録番号:17854

法律事務所名:弁護士法人筧法律事務所 篠山支所

処分の内容:戒告

処分の理由の要旨:

 被懲戒者は、同人が代表社員である弁護士法人Aと懲戒請求者との間で、2013年11月26日に締結された離婚訴訟の委任契約書では、報酬金について、懲戒請求者の得た経済的利益の15パーセントとするとされ、経済的利益の額はA弁護士法人の弁護士報酬基準に定める方法によって算出するとされていたものの、委任契約締結の際に、事件を担当するB弁護士が、報酬金について、70万円から80万円で多くても100万円を超えることはないとの説明を行い、A弁護士法人側から上記報酬基準によって経済的利益を算出するとの説明がなされた事実もなく、また、A弁護士法人の弁護士報酬基準が提示された事実も認められず、報酬金額については70万円から80万円程度、あるいは、後の判決で相当とされた84万円程度が適正かつ妥当であったにもかかわらず、上記離婚訴訟について和解が成立し、その和解に係る離婚訴訟、離婚反訴事件及び損害賠償請求事件の3件を対象として、上記弁護士報酬基準に基づいて報酬金217万7000円を請求した。また、被懲戒者は、2016年11月30日に、懲戒請求者から電話で、上記報酬金の請求書について、上記のB弁護士の説明と異なることを指摘され確認を求められたのにこれを行わず、契約書どおりにするしかないなどと言って、紛議調停を申し立てる意向を示し、B弁護士への確認を経ない段階で、上記の電話での1回だけの交渉で、同年12月1日に所属弁護士会に紛議調停を申し立て、その第2回期日において、報酬金を174万円とする解決案を提示し、懲戒請求者がこれを持ち帰って検討するとしていたにもかかわらず、次回期日を待つことなく、2017年2月23日に一方的に紛議調停の取下書を提出し、同年3月3日付けで、報酬金を347万3000円に増額した報酬請求訴訟を提起し、その後、委任契約当事者がA弁護士法人であることを指摘されたことを受けて、A弁護士法人を原告として、同年4月17日、報酬金額を412万1000円にさらに増額した報酬請求訴訟を提起した。

 被懲戒者の上記行為は、弁護士法56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

 

処分が効力を生じた日:2020年12月

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