懲戒情報|委任契約書作成義務、事件放置|2021年8月号(1)

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自由と正義:2021年8月号

弁護士会:京都弁護士会

弁護士名:黒田充治 

登録番号:22286 

法律事務所名:黒田法律事務所

処分の内容:業務停止6月

処分の理由の要旨:

  1. 被懲戒者は、2008年頃、懲戒請求者Aから、Bら7名と共に有する地上権を共同  して第三者に売却する交渉事務を受任し、弁護士費用として90万円を受領したが、委任契約書を作成せず、また、2012年1月16日、Bが懲戒請求者Aを被告として提起した貸金返還請求訴訟において懲戒請求者Aの代理人となり、着手金30万円を受領したが、委任契約書を作成しなかった。
  2. 被懲戒者は、2014年春頃、懲戒請求者CからD又はDが実質的代表である株式会社Eに対する貸付金の回収を受任し、着手金として、数か月の間に、複数回にわたり合計約400万円の支払を受けたが、2015年8月に至っても、仮差押えのための財産調査に着手したのみで、仮差押えの申立てにも貸付金回収そのものにも着手せず、懲戒請求者Cからの問合せに対しても、委任事務の進捗状況や処理の見通しについて具体的な報告を行わず、また、懲戒請求者Cとの間で委任契約書の作成もせず、委任事務の内容につき懲戒請求者Cとの間で認識の食い違いを生ぜしめ、さらに、懲戒請求者Cに対し、着手金の返金を約したにもかかわらず、これを返金しなかった。
  3. 被懲戒者は、Fがその居住するマンションでトラブルを起こしたとして、その管理者から提起された明渡請求訴訟においてFの訴訟代理人となり、Fの元夫である懲戒請求者Gからその弁護士報酬として合計26万6000円の支払を受けたが、委任契約書を作成しなかった。また、被懲戒者は、Fに関する費用として、2016年6月から同年8月までの間に懲戒請求者Gから合計162万円の支払を受けたが、これを請求するに際し、受任事務の内容や相手方を明示する委任契約書を作成せず、報酬の趣旨や算定の根拠の説明をしなかった。
  4. 被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第30条第1項及び弁護士の報酬に関する規定第5条第2項に、上記(2)の行為は弁護士職務基本規程第30条第1項並びに弁護士の報酬に関する規定第5条第1項及び第2項に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

 

処分が効力を生じた日:2021年2月

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