懲戒情報|委任契約書作成義務、相手方に対する利益供与、説明義務、法令精通義務、妥当でない弁護費用|2022年6月号(1)

自由と正義:2022年6月号

弁護士会:東京弁護士会 

弁護士名:尾﨑幸廣

登録番号:34925 

法律事務所名:菊水法律事務所 

処分の内容:戒告

処分の理由の要旨:

(1)被懲戒者は、懲戒請求者から事件を受任する際、委任契約書を作成しなかった。

(2)被懲戒者は、上記(1)の事件に関し、相手方であるAに対して婚姻費用の請求を行っていたところ、Aから婚姻費用を送金できないと返答されたため、被懲戒者の負担で複数回にわたり、懲戒請求者に送金する婚姻費用の資金をAに送金した。

(3)被懲戒者は、上記(1)の事件に関し、婚姻費用の請求、離婚に伴う財産分与請求等につき、債務名義化を図るかどうか、民事保全手続を行うかどうか等検討し、懲戒請求者と協議すべきであったところ、懲戒請求者は離婚して初めて財産分与請求権や慰謝料請求権を実定法上の権利として行使することができる等誤った法的知識の下、Aに対して法的手段を執ると権利を行使できるようになる前にA名義のマンションが競売又は任意売却され懲戒請求者は一銭も得られないとの断定的な判断を行い、事実関係の調査、法的手段の検討、懲戒請求者に対する説明及び協議をせず、任意の交渉のみを行い、法的手段を一切執らなかった。

(4)被懲戒者は、Aが上記(3)のマンションを売却するに際し、売買代金から懲戒請求者に渡される金額は600万円程度と聞いた戒請求者から1000万円もらえないのであればAに権利証を渡さないでほしいとの要望を聞いていたにもかかわらず、Aに権利証を引き渡した。

(5)被懲戒者は、上記(3)のマンションの売却に立ち会っていたが、売却代金から差し 引かれる各費用項目等の内訳をAから口頭で聞いて、これをそのまま懲戒請求者に伝えたのみで、その明細が分かる書類等を取得せず、懲戒請求者にその詳細に関する説明等をしなかった。

(6)被懲戒者は、上記(1)の事件を受任するに当たり、弁護士報酬に関する取決めをしなかったが、上記(3)のマンションの決済日にAから被懲戒者の口座に送金された698万円から被懲戒者が懲戒請求者に無断で定めた報酬額等を控除した残額を懲戒請求者の口座に送金した。

(7)被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第30条第1項に、上記(2)の行為は同規程第54条に、上記(3)の行為は同規程第29条第1項、第36条及び第37条に、上記(6)の行為は同規程第29条に違反し、上記各行為はいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

 

処分が効力を生じた日:2021年11月

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この記事を書いた人

日本弁護士連合会に登録している約4万2000人(2020年10月現在)の弁護士を中心に、法律事務所職員、司法修習生へ、法律事務所の経営や集客、仕事術に関するお役立ち情報と、弁護士の資産形成、業界情報などについての情報発信を行っています。

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