懲戒情報|処分変更|2022年7月号(12)

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自由と正義:2022年7月号

弁護士会:神奈川県弁護士会

弁護士名:古澤眞尋

登録番号:27161

1裁決の内容

(1)審査請求人に対する戒処分(退会命令)を変更する。

(2)審査請求人の業務を2年間停止する。

2裁決の理由の要旨

(1)神奈川県弁護士会(以下「原弁護士会」という。)は、本件懲戒請求事件につき、審査請求人を退会命令の処分に付した。

(2)審査請求人の本件審査請求の理由は、要するに、原弁護士会の前記認定と判断には誤りがあり、また、過去の懲戒事例と比較すればその処分は不当に重いものであって、原弁護士会の処分に不服なので、その取消しを求めるというにある。

当委員会が、審査請求人から新たに提出された証拠及び当委員会における審査請求人の審尋結果を含めて審査した結果によっても、原弁護士会懲戒委員会の議決書(以下「原議決書」という。)の認定に誤りはない。

審査請求人は、本件懲戒請求事由は一部のメールの作出と訴訟における証拠提出のみであり、他の証拠の作出ないしは証拠提出等は別に提起された懲戒請求事件において審議されるべき事由であって、これらを含めた原議決書の認定と判断は相当ではない旨主張する。

しかし、審査請求人は、本件懲戒請求事由の対象とされているメールの作出及び証拠提出を行った後に、その捏造の事実を糊塗するために、次々と他の証拠を作出して、これらを訴訟に提出したばかりか原弁護士会の懲戒手続にも提出したのであって、原弁護士会が懲戒請求事由の対象とされているメールが捏造されたものか否かを判断するに当たっては、審査請求人が捏造ではない根拠として次々と提出したこれら他の証拠についても触れざるを得なかったといえる。原議決書は、こうした観点から他の証拠についても検討して、これらもまた捏造ないしはその疑念がある等と認定したが、原議決書によれば、懲戒請求事由はあくまで一部のメールの作出と訴訟における証拠提出とした上で、他の証拠の作出等については量定の事情として考慮しているものと見ることができる。審査請求人が退会命令の処分に付されたことによって、別に提起された懲戒請求事件は手続上終了せざるを得ないことになるという本件の事情をも鑑みると、前記の原議決書の認定と判断には誤りはないというべきであって、審査請求人の主張は採用しない。

原議決書も指摘するように、審査請求人は、自身が訴訟当事者となっている訴訟において、作成名義を偽り捏造した証拠を提出したものであって、その行為は、およそ弁護士として決して許されないものである。加えて、審査請求人は、その後その捏造の事実を糊塗するために、第三者を利用して、次々と捏造ないしはその疑念がある証拠を作出して訴訟に提出しているのであって、こうした事情を考慮すると、その非行の程度は極めて重大といわざるを得ない。

(3)しかしながら、本件懲戒請求事由はあくまで一部のメールの作出と訴訟における 証拠提出に限られるものであること、その後に懲戒請求者との間で和解が成立し、和解金も既に支払われていること、懲戒請求者が行っていた原議決に対する異議申出は取り下げられたこと等の事情を考慮すれば、前記のとおり審査請求人の非行の程度は極めて重大ではあるものの、原弁護士会が付した退会命令の処分はやや重きに過ぎるので、これを変更して、審査請求人の業務を2年間停止することを相当と認め、主文のとおり議決する。

なお、審査請求人の非行の程度は極めて重大であることに加えて、審査請求人がメールの作出と証拠提出を行った行為すら否認する態度には何ら反省が見られないとして、原弁護士会が付した退会命令処分を変更する理由はないとする意見が少なからずあったことを付言する。

 

処分が効力を生じた日:2022年5月

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