自由と正義:2021年3月号
弁護士会:東京弁護士会
弁護士名: 安東宏三
登録番号:22543
法律事務所名:安東宏三法律事務所
処分の内容:戒告
処分の理由の要旨:
(1) 被懲戒者は、2015年10月16日、Aが入所していた介護施設において受傷したことに基づく2件の損害賠償請求事件をA及びその夫である懲戒請求者から受任し、着手金31万3200円を受領したが、同月21日に各相手方に損害賠償請求する旨の通知書を送付する等した後は、症状固定まで推移を見る方針としていたところ、少なくともAの症状固定が認められる2016年9月以降は、速やかに相手方と交渉を進めるべきであったにもかかわらず、懲戒請求者に対して自分からは連絡も報告もすることなく、上記損害賠償請求事件の処理に関して十分な報告や協議をせず、2017年4月5日に各相手方に和解の提案をするまで交渉に着手しなかった。
(2) 被懲戒者は、上記(1)の事件に関し、2016年8月31日の懲戒請求者との電話において、損害賠償請求額について合計200万円程度を基本に交渉したいと説明したが、その後半年以上経過し、その間にAが死亡したこと等から改めて懲戒請求者の意思を確認すべきであったにもかかわらず、2017年4月5日に各相手方に和解の提案をするに際し、和解の提案を行うこと及びその内容について懲戒請求者の意向を確認しなかった。
(3) 被懲戒者は、上記(1)の事件に関し、2017年5月1日付け通知書にて懲戒請求者から委任契約を解除され、懲戒請求者の代理人から交渉経過等を尋ねられていたにもかかわらず、同年6月22日に事務所の移転等を知らせる内容の文書をFAX送信したのみで、その他には連絡をしなかった。
(4) 被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第35条及び第36条に、上記(2)の行為は同規定第22条に、上記(3)の行為は同規定第44条に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
処分が効力を生じた日:2020年10月