懲戒速報|妥当でない弁護士報酬、説明義務、預り金の取り扱い|2021年3月号(9)

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自由と正義:2021年3月号

弁護士会:第二東京弁護士会

弁護士名: 南栄一

登録番号:26696

法律事務所名:南法律事務所

処分の内容:戒告

処分の理由の要旨:

(1) 被懲戒者は、20177月、懲戒請求者有限会社Aから民事再生手続を受任するに当たり、委任契約書には弁護士報酬について具体的な算定方法について書面による合意がないときは被懲戒者所定の報酬規程に従うことが定められていたところ、その報酬規程を示さず、着手金の算定根拠を説明せず、出張時の日当の額及び日当が被懲戒者以外の弁護士についても発生することにつき口頭での説明にとどまり委任契約書に明記しなかった。また、被懲戒者は、上記事件に関する着手金及び月額報酬につき、被懲戒者所定の報酬規程に基づく算定自体が客観的に算定根拠の相当性が担保されているものでない上、その報酬規程に基づき算定した金額よりも約103万円も多額であって適正かつ妥当とはいえない着手金648万円及び月額報酬合計6048000円を受領した。さらに、被懲戒者は、上記事件に関し、懲戒請求者A社の代理人であるB弁護士に対して、民事再生手続において事業譲渡が実現せず、再生債権者への配当額が被懲戒者の受領した弁護士報酬等の1割にも満たないなどの事情に照らして適正かつ妥当とはいえない金額の成功報酬1038万円を提示した。

(2) 被懲戒者は、上記(1)の事件に関し、民事再生手続が終結し、20186月に裁判所より予納金の還付を受け、預り金が967757円となっていることをB弁護士に通知し、同年10月にはB弁護士から預り金の返還要請を受けたにもかかわらず、2019917日までの間、預り金の返還をしなかった。

(3) 被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第24条及び第29条第1項に、上記(2)の行為は同規定第45条に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

 

処分が効力を生じた日:2020年10月

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