最近はリーガル系のドラマや映画が次々と公開され、法律界隈のみなさんは身近なテーマで嬉しく感じる一方で、少し飽きてきた方もいらっしゃるかもしれません。
そんな中、2023年11月10日に公開され、全国の劇場で大ヒット上映中の映画「法廷遊戯」は他のリーガル系作品と異なる特徴があり、注目の作品です。
本記事では、同作品を見てきた筆者が、ロースクール生の立場から、ネタバレなしのレビューをお届けしたいと思います。
原作の特徴
映画「法廷遊戯」の1番の特徴は、その原作である同名の小説「法廷遊戯」の生みの親である原作者にあります。
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というのも、実は、こちらの小説の作者である五十嵐律人(本名:五十嵐優貴)さんは現役の弁護士でもあるのです。
執筆当時は司法試験合格後、司法修習前だったようです。
五十嵐弁護士は、現在ベリーベスト法律事務所に所属し、現役の弁護士業と作家業を兼業されています。
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弁護士として法律に詳しく、ご自身も東北大学法科大学院を卒業されているので、「法廷遊戯」の舞台であるロースクールや裁判について、確かな知識とご経験を有していることがわかります。
あらすじ
舞台は法都大学法科大学院という中小規模のロースクールです。当初は法科大学院生であった同級生の3人(久我清義・織本美鈴・結城馨)は、受験勉強に励みつつ、切磋琢磨していました。
同ロースクールでは、「無辜(むこ)ゲーム」という裁判ごっこが流行っていて、これは、ロースクール内で起こったトラブルを学生が訴え、学年一優秀で既に予備試験ルートから司法試験に合格していた結城馨が裁判長となって裁くという儀式のようなものでした。勉強の息抜きとして多くの学生が参加していました。
その後、主人公の久我清義や同級生の織本美鈴も無事司法試験に合格し、司法修習を終えて弁護士になろうとしていた矢先、大学に残って刑事法の研究者となった結城馨が死亡し、織本美鈴が容疑者として逮捕・起訴されることになりました。
そして、主人公の久我清義が弁護士として、彼女を弁護することになったのです。弁護活動を通じて事件の真相を究明していく中で、新たな事実が次々と明らかになっていきます。
感想
このように、物語の一部はロースクールを舞台としており、机の上の教科書や参考書など、ロースクール生からするとよく見るものばかりで、細かいところまでとても楽しめました。また、中小規模のロースクールとあって、学生たちの試験への不安や少しギスギスした関係性も、リアルに近いかもしれません。
出演者については、中心人物である3人にそれぞれ主人公の久我清義役にKing & Princeの永瀬廉さん、同級生の織本美鈴役に杉咲花さん、結城馨役に北村匠海さんという今が旬の若手俳優が揃っていて、話題性も十分ですし、どの方も特徴的で影のあるキャラクターを見事に演じられていました。
また、個人的には、刑事訴訟法の先生役を演じられていた柄本明さんが、とても存在感のある役者さんで今回もやはり見応えがあったのと同時に、もしこんな先生がいたら授業であてられるのが怖いからきちんと予習をして行くだろうと、思わず考えてしまいました。
また、ネタバレなしということで、内容面には触れられませんが、作品のテーマとなっている刑事裁判については、法律知識があればより楽しめると思います。最後まで見るとわかりますが、物語の真相やそれに関する目の付け所は、きちんと法律について学んだ方なら唸ってしまう部分があり、非常に考えさせられるところがありました。
もっとも、仮に法律に詳しくない方であっても、法律監修として原作者の五十嵐弁護士が関与されていることからも、重要なポイントは映画を見れば十分に分かるようになっているので、どうかご安心ください。
まとめ
以上、映画「法廷遊戯」を現役ロースクール生が、ネタバレなしでレビューしてみました。本記事で映画「法廷遊戯」に興味を持たれた方は、ぜひ劇場に足を運んでもらえればと思います。