君たちは、どう選択科目を選ぶか?
選択科目の選び方・紹介も第3回目となりました!
過去に紹介した2科目のうち、皆さんの興味を惹く科目はありましたか?
「まだ運命の出会いを果たせてない!」
「もっと他の科目も知りたいんだ!!」
そんなあなたに、今回は満を持しての王道科目、「労働法」をご紹介します!
【今回取材した人】
都内私立ロースクール修了、R5司法試験受験
労働法ってどんな科目?
「労働法」は、私たちにとってとても身近な法分野です!
就職をする際はもちろん、今皆さんがやっているアルバイトだって、働く人と雇う人の間で労働契約を結んで働いています。ですが、この労働契約が、完全に会社の自由意思で決められるとしたらどうでしょう?
一般的に、お金を稼がなければ生活が出来ない労働者は会社よりも立場が弱いです。なのに、「残業代は支払いません!」とか、「1日12時間働いてもらいます!!」なんて言われたらどう思いますか?
挙げ句の果てに「それが嫌なら、ウチで働いてもらわなくても結構!他の人を雇うからね!」なんて言われてしまったら…。結局、労働者としては会社の言いなりになって働かざるを得ません。
このように、不利な契約条件や劣悪な労働条件にならないように、労働者を保護するための法律を総称して「労働法」と言います。
司法試験では、労働基準法、労働契約法などの「個別的労働関係法」と、労働組合法などの「集団的労使関係法」が出題されます。
ちなみに、「もっと労働法を知りたい!あ、でも楽しめる感じでよろしく!」という方には、「ダンダリン〜労働基準監督官〜」(日本テレビ放送網)というドラマがオススメですよ!
どうして労働法を選んだの?
当初の理由は結構消極的で、選択法の中で唯一興味を持てそうな科目だったからです(苦笑)(選んだ当時は、他に興味の持てそうな科目がなく…。)
ただ、勉強し始めてからは、後述するように沢山の判例を読むことになるので、労使関係の事案に必然的に詳しくなれて、例えばテレビで報道される労働問題などを面白く視聴できるようになります。
あとは、学習の副産物ですが、試験問題を初見で見ても、日ごろの判例学習のおかげで問題把握がしやすいので、選んでよかったと今は思います(笑)
試験ではどんな問題が出る?
労働法は、
①雇用関係法
労働者と使用者の雇用関係を規律する法分野(具体例:労働基本法、労働契約法、最低賃金法、男女雇用機会均等法など)を指します。
②労使関係法
労働者、使用者と労働組合との集団的関係(労使関係)を規律する法分野(具体的な法律でいうと、労働組織法、労働関係調節法など)を指します。
③労働市場法
求職者と求人者の労働関係取引に関する法分野(具体例:雇用保険法)を指します。
④労働紛争解決法
労働関係をめぐる紛争解決のための法分野(具体例:労働審判法)
という4分野に分けられます。
司法試験で出題されることが多い分野は、①②+労働法総論です。第1問が労働法総論・雇用関係法の分野、 第2問が労使関係法の分野からの出題が原則です(例外的に1問目も2問目も前者の分野から出題される場合もあります)。
なので、試験対策的には、労働法総論と①②の分野に注力して、余力があれば③④の分野まで手を広げる、という作戦がオススメです!
勉強内容・方法・勉強時間
判例の理解(判例それぞれについて事案&規範部分(考慮要素)の暗記)が大事な科目です。
たとえば、上記4で挙げた分野のうち、①では「雇用関係の成立」「雇用関係の展開(人事(配転や転籍など)や懲戒)」「雇用関係の終了(解雇、辞職や合意解約など ︎)」「基本的労働条件(賃金、労働時間、休暇など)」などの重要トピックがあり、それらを重点的に覚えるようにして、余力があればその他のトピック(①でいうと「労働者の人権保障(差別の禁止やプライバシー保護など)」を覚えるのが良いと思います。
百選の理解が大事にはなりますが、そのうち5~6割くらいを優先的に覚えていくイメージです。
もっとも、答案の型が特殊なわけではないので、頑張って規範部分を頭に入れてそれを吐き出せさえすれば、書きにくい科目ではないです!(例えば解雇の有効性が問われている場合、損害賠償請求できますか?などを論じることになるので、その点では民法に似ています)
メリット・デメリット
メリット
なんと言ってもその馴染みやすさがメリットだと思います!
問題を解いていて、場面が全くイメージできない…。みたいなことにはなりません。
また、労働法は選択者数が第1位です(令和5年司法試験では、1127人(受験者の28.9%)が労働法を選択。令和4年予備試験でも、5546人(受験者の34.35%))。そのため、出回っている教材の量も豊富ですし、予備校講座も充実しています。
周りに選択者も多いはずなので、自主ゼミも組みやすいと思います!
そして、実務家になったときに1番役に立つ科目であるのも大きなメリットです!
労働事件を専門に扱う事務所も多くあるので、アドバンテージになります!
これが、労働法が王道選択科目と言われる所以です(笑)!!
デメリット
頻出分野から重点的につぶしていくというスタンスでいけば、覚えることもだいぶ絞られます。
ですが、そうは言っても、判例が示した具体的な考慮要素などを「正しく理解→答案に吐き出す」ようにするためにはそこそこの時間を要すると思うので、短期間でコスパよく!をモットーにする方にはオススメできないかもです。
オススメ教材
- 水町勇一郎著「労働法」
- 水町勇一郎著「事例演習労働法」
- 「1冊だけで労働法」辰巳法律研究所
いかがでしたか?
私たちの生活、もっと言えば法律家として生きていく上でも避けては通れない労働問題を、あらかじめ選択科目として学んでおけば、周りと大きく差をつけられるかもしれないですね!目先のコスパは微妙かもしれませんが、大きく見ればペイできるかも・・・!?
労働法を選択しなかった筆者も、今から本屋に行って教科書1冊読んでみようと思いました(笑)
次回の選択科目紹介もお楽しみに!!