公的年金制度において、弁護士の皆様の多くが、「第1号被保険者」に該当するかと思います。年金というと、老後年金のイメージが強いかと思いますが、それだけではありません。
「障害年金」「遺族年金」もあります。
現役世代でも、病気やけがなどで障害が生じたときには、「障害年金」が支給されます。
今回は、「障害年金」について詳しくお伝えします。どのような状態でいくらくらいもらえるのか、あらかじめ確認しておけば、民間の医療保険を検討するときに、無駄なく備えることが出来ます。
障害年金とは?どれくらいもらえるのか?
障害年金は、加入者が所定の障害状態になった場合に支給される年金です。
この障害状態とは、視覚障害や聴覚障害、肢体の障害などの障害だけではなく、がんや糖尿病、心疾患、呼吸器疾患などの疾患が原因で、長期療養が必要で仕事や生活が著しく制限を受ける状態になったときなども含まれます。また、障害手帳をもっていない場合でも、障害年金を受けることができます。
障害年金は、障害状態になるきっかけとなった病気やケガで、初めて医師の診療を受けたときに加入していた公的年金で支給される障害年金が決まります。
支給される年金が決まるとはどういうことでしょうか?それは、「会社員より少額?! 弁護士の年金制度を詳しく解説」でお伝えした通り、会社員や公務員が加入する「厚生年金」があるかないかです。
■公的年金制度
弁護士の皆様の多くが、「第1号被保険者」に該当されると思いますが、この第1号被保険者の場合、第2号被保険者よりも保障される範囲が小さくなり、支給される年金額も少なくなります。
■令和2年度 障害年金支給額
ここまで「障害年金」とお伝えしてきましたが、厳密にいえば、1階建て部分の「障害基礎年金」と「障害厚生年金」に分けられます。
上の表の通り、厚生年金に加入の方は、障害基礎年金に加えて障害厚生年金を受け取ることが出来ます。また、3級障害でも支給があり、障害手当金もあります。
ちなみに、障害手当金とは、病気やケガで障害者となった際に、障害の程度が軽い場合に一時金としてもらえる制度です。
障害年金の対象となる状態は?
障害年金は「障害の程度」によって障害等級を決定します。障害の程度については、国民年金機構では以下のように定義しています。
■障害の程度
具体的な、ケガや状態については、障害ごとに記されています。
障害等級認定基準
- ・眼の障害
- ・聴覚の障害
- ・鼻腔機能の障害
- ・平衡機能の障害
- ・そしゃく・嚥下機能の障害
- ・音声又は言語機能の障害
- ・肢体の障害
- ・精神の障害
- ・神経系統の障害
- ・呼吸器疾患による障害
- ・心疾患による障害
- ・腎疾患による障害
- ・肝疾患による障害
- ・血液・造血器疾患による障害
- ・代謝疾患による障害
- ・悪性新生物による障害
- ・高血圧症による障害
- ・その他の疾患による障害
- ・重複障害
例えば、「悪性新生物による障害」では「著しい全身倦怠のため、『歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、 軽労働はできないが、日中の 50%以上は起居しているもの』又は『軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業は できるもの 例えば、軽い家事、事務など』に該当するもの」このような状態で「3等級」に該当となります。
詳しくは、年金事務所などに相談することになりますが、障害年金の支給対象となる範囲は、意外と広いことがお分かり頂けるかと思います。
意外と身近な疾病でも支給される障害年金
今回は障害年金についてお伝えしました。「障害」と聞くと、かなり重度な状況をイメージするかと思いますが、意外と身近な疾病を起因として生じる生活への負担に対しても、支給対象となる場合があります。
ただ、弁護士の多くの方が該当するであろう第1号被保険者の場合は注意が必要です。それは障害厚生年金がないため、対象範囲や支給額が劣ってしまう点です。
また、老齢年金の場合は、第1号被保険者でも2階だてに相当する「国民年金基金」と「確定拠出型年金(iDeCo)」などで、足りない部分を補強出来ました。
しかし、障害年金の場合は、2階建てを作ることが出来ないので、万が一に備えて、民間の保険も検討する必要がありそうです。